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旭川におけるDGPS補正情報受信実験

北海道中央部・東部、秋田、岩手、福島、新潟、栃木、群馬、長野、岐阜、兵庫、鳥取、島根、熊本・・・日本国内には海上保安庁が設置するビーコン基地局から、ディファレンシャル補正情報を受信できない場所がたくさんあります。

それはもともとビーコン基地局が海上での利用を前提にしているからです。私どもの本社がある旭川市も北海道の中央部に位置するため、北海道を囲むどこの基地局からの補正情報が受けられる日もあれば、どこから受けられない日もあります。 そこで今回旭川駅を中心にビーコン基地局からの補正情報を受けられる場所、OmniSTAR(静止衛星から)補正情報を受けられる場所をチェックしてきました。


1. 実験の方法

  • 実験年月日: 2002年5月7日16:00-17:00
  • 使用機器: トリンブル社Ag124(ビーコン方式)、Ag132(ビーコン/OmniSTAR切替方式)
  • 実験方法: 車上に下写真のようにアンテナを縦に取付ける。それぞれからNMEAのGGAメッセージを1秒間に1個データをパソコンにログする。Ag124はビーコン方式(オートビーコンモード)であるが、Ag132はOmniSTARモードに設定する(OmniSTARは受信契約済)。旭川市内をぐるりと車で一周する。

アンテナは強力マグネットで!

D/3Dという表示になればOK!

2. データの処理方法

収集したデータはGGXFORMというフリーウエアでWGS84から日本測地系、平面直角座標(12系)に変換。さらにシェープファイルにポイントとして変換し、ArcView8.1に受け渡してやる。背景図として北海道地図社のベクタ2500を利用。

3. 結果

● Ag132/OmniSTAR方式

下の図においてブルーの点は補正情報を受けられた場所。90%以上の点で補正情報を受けることができた。受けられなかったのは、物理的に高い建物があり、静止衛星からの補正情報が遮断された。1535.1375Mhzの周波数で補正情報が送られてくるので、300Khzのビーコンと異なり遮蔽物の迂回性は高くない。

下図で赤の点は補正情報を受けられなかった場所の拡大図。北海道では静止衛星の仰角が低いので、北海道以西では受信状況はもっと良好なはず。北海道では座標変換による「ひずみ」が大きいため、地図から点が若干シフトしている。これは旭川市を囲む三角点3点程度で観測を行いシフト量を反映してやれば、地図には合致してくる。世界測地系へ移行に伴い、この問題も解決されるはず。



● Ag124/Beacon方式…オートビーコンサーチ

下の図は旭川がビーコン基地局から遠い、あるいはビーコン基地局からの補正情報を受けるのに難しい場所であることを意味している。Ag124の性能のせいではない。他社の受信機でも同じ状況。半分以下の点でしかディファレンシャルにならなかった。衛星はだいたい6個以上補足している。

旭川市中心部でもディファレンシャルになった点は少なかった。ディファレンシャルでない状態でも、今回の実験状態においてデータが大きくとばないのはさすが!


4. 結論

旭川ではビーコン基地局から補正情報を受けられる場所は少ない。一方OmniSTAR補正情報はほぼ問題なく受けられる。以下のようにビーコン方式、OmniSTAR方式それぞれメリットがあるがビーコン/OmniSTAR切替方式はうまいところ取りの受信機と言えるかもしれない

ビーコン方式 OmniSTAR方式
費用 無料 月額US$300(農業)
電波の迂回性 高い 低い
カバー性 日本の海岸をほぼカバー 世界の80%の大陸をカバー
DGPS精度(コード) 受信機によるが良いもので1m以内 1m以内
特に向いている業務 深浅測量等海での業務、林業 農業
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