1)納品後の首輪に、自分で設定したスケジュールをアップロードすることはできますか?
スケジュールは、専用ソフトウェアGPS PLUSまたはGPS PLUS Xで簡単に設定することができます。スケジュール設定に誤りがあった場合、大抵はプログラム側でそれに気付きエラーメッセージが表示されますが、まれに誤りを発見できないことがあります。それが致命的な事態を引き起こすことを防ぐために、あらかじめ最低1つはスケジュールの開始日を2000年1月1日にするようにしてください。何らかの原因により内部の時計がリセットされてしまった場合、GPS衛星からの時刻情報を取得するまでの間、首輪の内蔵時計が2000年1月1日から再スタートを始めるためです。
スケジュールには最低1つ以上のルールを設定する必要があります。開始日と終了日が重なり合う複数のルールを設定する際は、その重なった期間中は複数のルールが適用されることになるので、ご注意ください。たとえば、1時間に1回というスケジュールと、時刻を指定した不定期のスケジュールが同時に適用された場合、1時間に1回と、指定した時刻それぞれでGPS測位が実行されます。スケジュールの設定の際には、全てのスケジュールをよく確認するようにしてください。誤ったスケジュール設定のまま調査を行った場合、データが一切取れない、通信ができないなどのトラブルの原因となる可能性があります。
新しいスケジュール設定を首輪に保存する際には常に古い設定を全て上書きしてしまうため、以前のスケジュール設定にあった内容を新しいスケジュールにも組み込みたいという場合には必ず、新しいスケジュールでその古いスケジュール設定を作り直すようにしてください。全てのスケジュールの開始日が過去の日付だった場合、首輪は6時間に1回測位するスケジュールになり、逆に全てのスケジュールの開始日が未来の日付だった場合、首輪は1週間に1回測位するスケジュールを自動的に実行します。
利用できる通信方法によって、送信可能なスケジュールデータの最大容量が変わってきます。データサイズによってはスケジュールを分割して、直近に利用するスケジュールのみアップロードする必要があります。
2)GPS測位スケジュールの設定にある各ルールはどうやって使うものなんですか?
GPS測位スケジュールは、単純に一定時刻(または特定の時刻)ごとに測位するスケジュールの他に、3種類のルールを組み合わせることであらゆる場面に柔軟に対応できるスケジュールを設定することもできます。調査対象の動物の行動や縄張りの調査を正しく行うためには、適正なGPS測位スケジュールを設定することが非常に重要となります。
- Cyclic Rule:最もよく使われるルールで、1日の間で決められたインターバルでGPS測位を実行します。特に大きめのバッテリを使用している場合だと、このルールでスケジュールを設定するのがいちばん簡単です(例:標準1時間に1回測位・接近感知時には5分に1回など)。このルールを基本として、他にDiscrete RuleやRollover Ruleを組み合わせるのが、基本的な形になります。
- Discrete Rule:1日の決まった時刻にGPS測位を実行させるルールで、通常1日に数回程度しか実行しないスケジュールになるため、バッテリを節約しなくてはならない2D以下の小さめのバッテリによく利用されます。このルールだけを使ってスケジュールを組むことは、動物の実際の活動時間と測位時間がずれていた場合に正確な行動記録が取れなくなり、十分な結果が得られない危険性があるため、できるだけRollover Ruleと組み合わせて利用するようにしてください。
- Rollover Rule:Cyclic RuleやDiscrete Ruleと違い、これは1日単位ではなく任意の期間内で時間単位でGPS測位を実行させるルールで、バッテリを節約する必要のある小さめのバッテリによく利用されます。1日単位で決まった時刻に数回測位するだけのスケジュールだった場合、動物の実際の活動時間と測位時間がずれていた場合に正確な行動記録が取れなくなりますが、このRollover Ruleの場合は任意のインターバル(例:7時間ごと)にすると、例えば初日に7時、14時、21時に測位し、翌日は4時、11時、18時に測位するというように、時刻に関係無く測位を実行するため、あらゆる時間帯の行動記録を網羅することが可能になりますし、これにDiscrete Ruleを組み合わせるとさらに詳しく動物の生態を調査できます。
3)どうやって複数のGPS測位スケジュールを設定することができるのですか?
ユーザーは状況に応じたGPS測位スケジュールを複数設定することができ、それにより首輪には自動的に特定の状況をトリガーとした専用のスケジュールが適用されるようになります。専用スケジュールは、トリガーとなった状況が続く限り適用され続け、その状態から脱すると通常の測位スケジュールに切り替わります。この機能により、複雑に組み合わせた複数のスケジュールで首輪を利用することができます。
- 標準のスケジュール:他のスケジュール設定が適用されていない時間に適用される基本となるスケジュール設定です。各専用スケジュールを重視し、かつバッテリの節約をしたい場合には、このスケジュールでは大雑把な位置のみ把握できるような1日の測位回数を極力減らした設定にすることを推奨します。
- アクティビティセンサー用スケジュール:首輪を装着した動物が活発に活動した際に適用されるスケジュール設定で、あらかじめ設定したアクティビティの閾値を超える活動量である限り、このスケジュール設定が適用され続けます。活発な活動状態というのは、たとえば狩りをしていたり、発情行動を行っていたりといったことです。アクティビティセンサー用スケジュールは、アクティビティセンサーオプションが適用された全ての首輪(ファームウェア2.8.9以上)に設定することができます。また、アクティビティセンサー用スケジュールは標準のスケジュールより優先順位が高く設定されています。
- 仮想フェンス用スケジュール:首輪を装着した動物が、あらかじめ設定した仮想フェンス内に進入した場合に適用されるスケジュール設定です。仮想フェンスオプションは全てのGPS首輪が利用することができます。このスケジュールは、動物が仮想フェンス外に出てから1時間後(設定により変更可能)まで適用され続けます。仮想フェンスは、たとえば半家畜化している動物の餌の供給地といった場所などに設定することができ、そこで適用されるスケジュール設定は、測位間隔を狭めることも、反対に広げることも可能です。仮想フェンス用スケジュールは、標準のスケジュールおよびアクティビティセンサー用スケジュールよりも優先順位が高く設定されています。
- 接近感知センサー用スケジュール:首輪を装着した動物とUHF IDタグが接近した際、または離れた際に適用されるスケジュール設定です。接近感知センサーオプションは、UHF無線通信オプションが適用されている首輪でのみ利用することができます。接近感知センサー用スケジュールを利用すると例えば、オオカミに首輪を、捕食対象の動物(シカなど)にUHF IDタグを装着させた場合に、狩り(接近状態)の際に非常に短い間隔で測位を実行することで両者の細かい移動経路などを観察することが可能になります。最後にUHF IDタグと接近してから標準のスケジュールに切り替わるまでの時間は、ユーザーが自由に設定することができます。接近感知センサー用スケジュールは、標準のスケジュール、アクティビティセンサー用スケジュールおよび仮想フェンス用スケジュールより優先順位が高く設定されています。
- モータリティセンサー用スケジュール:モータリティ(死亡)センサーにより首輪を装着した動物が死亡したと判断された際に適用されるスケジュールです。GSMやイリジウム衛星通信、Globalstar通信が適用されている首輪の場合には、モータリティイベントの発生時に位置情報とともに通知が行われます。モータリティセンサー用スケジュールは全てのスケジュール設定の中でも最優先で適用されますが、短い時間で終了し、その後は標準のスケジュール設定が適用されます。
各スケジュール設定の優先順位は、以下の通りです。
- モータリティセンサー用スケジュール(最上位)
- 接近感知センサー用スケジュール
- 仮想フェンス用スケジュール
- アクティビティセンサー用スケジュール
- 標準のスケジュール(最下位)