アクティビティ(またはより正確な加速度値)のデータは、野生動物研究における利用度の高さから、年々その重要性が増しています。GPS測位データだけで個体の観察を行おうとすると、ジグザクだったり直線だったりするデータのギャップを埋めて大雑把な軌跡を描くことで、誤った結果を導き出してしまう恐れがあります。取得されたGPSデータをアクティビティデータで補うことで、それが単なる動作なのか移動行動なのかを各測位点ごとに判断することができるようになります。
VERTEX Plus首輪は、アクティビティデータの潜在的なポテンシャルを大幅に高めることができる新しい高解像度のアクティビティセンサーを搭載しています。センサーではX、Y、Zの3軸で三次元的に加速度を連続して測定し、取得したデータはメモリに保存されます。旧アクティビティセンサーとは対照的に、取得されたデータは平均化などの処理もされない膨大な量の情報を含んだ生データのままで、通常の行動パターンの観察だけでなく性質の異なる行動を識別し、個体が何をしているかをより詳しく知るのに十分なデータとなります。
1秒間に2回、4回、8回、16回、32回の測定を行うという意味です。
5分ごとに取得した値などを平均化して生成されたデータを保管するだけだった旧アクティビティセンサーでも、有用なデータセットが取得されています。2世代のセンサーのデータを並べて比較できるように、新しいセンサーには旧センサーのミラーを実行するためのオプションが搭載されています。
中には10年間首輪を使い続けているユーザーもいます。そういったユーザーでも新しいセンサーを利用できるように、外付けでセンサーを旧型のGPS PLUS首輪に取り付けることができるようになっています。
新しいアクティビティセンサーは、2〜3ヶ月使用するだけで簡単にデータ量がギガバイトを越えてしまうため、USBケーブルを使った有線接続以外の全ての接続方法(無線接続)ではデータのダウンロードはできません。
データはCSVファイルとテキストファイルにエクスポートすることができます。
アクティビティセンサーとともに、VERTEX Plus首輪自体もまだリリースされたばかりです。メーカーでは今も、旧ソフトウェアActivity Patternに似たデータの可視化および解析を行うソフトウェアの開発を進めています。また、サードパーティ製の解析ソフトウェア(大部分は有料サービス)を利用したデータ解析も可能になるよう、現在調整を進めています。
現在メーカーではいくつかの現地調査のサポートを行っており、サンプルの分析とその結果から早急なソフトウェアの完成が求められている状況です。もし、新しいアクティビティセンサーに関する詳細な情報が必要であったり、他の研究者とこの件についての議論をお求めの場合には、販売店にご相談ください。
新旧センサーは、機能面も使用方法も異なります。下の表で、2つのセンサーの違いをご確認ください。GPS PLUSモードの詳細については、FAQのアクティビティセンサーの項を参照してください。
旧型センサー(2015年以前) | 新型センサー(2015年以降) | |
データの保存 | 4Hz(3軸) | 2、4、8、16、32Hz(3軸) |
データ処理 | 平均値(モードによる) | 無し |
利用する軸方向 |
モードによる (モード1:296秒ごとに3軸で1データ) | 3軸(X、Y、Z) |
オプションデータ処理 | 無し | GPS PLUS用データコンバート |
データの保管 | モードによる |
生データ (+GPS PLUSモードのデータ) |
メモリ容量 |
データ取得期間による (モード1:最大5年間) |
データ取得期間による (8Hz:最大5年間) |
アプリケーション |
Activity Pattern、季節ごとの 活動パターン、活動周期 |
Activity Pattern、季節ごとの 活動パターン、周期、認知行動 (例:放牧・移動・警戒行動) |