外部センサー(インプラント型)は今までの首輪では取得できなかったタイプのデータを収集することができるセンサーで、動物の体内に埋め込むにあたり科学作用を引き起こさない素材でつくられており、挿入による影響を緩和するために表面はなめらかに加工されています。生理学的な面の研究のみならず、生物学的・生態学的な側面からのアプローチにも利用することが可能です。今までのところ実際の動物を使った試験では、インプラントを埋め込まれたことによる影響(動物の健康上の影響など)や行動の変化(エサの摂取量の減少など)は見られていません。
モータリティ・インプラントはステンレス製のチューブ状の形状をしたセンサーで、個体の第一胃または腹腔内に挿入され、個体が死亡した場合すぐに通知が行われるよう設計されています。腹腔内への挿入には手術が必要です。第一胃が無い非反芻動物か、またはあっても小さい種類の個体以外には推奨できません。
モータリティ・インプラントには高感度加速度センサーと温度センサーが組み込まれており、VERTEX Plus首輪のモータリティセンサーとは違い、これは温度と心拍を計測します。データは定期的にUHF無線通信を使ってVERTEX Plus首輪へと送信され、首輪で測位した位置情報とともに個体の体温とステータス情報(生存または死亡)が記録されます。GSMまたはイリジウム衛星通信オプションが搭載された首輪の場合、位置情報とともにモータリティデータを送信することも可能になります。
加速度センサー:搭載されている高感度の加速度センサーは、心拍は呼吸などのわずかな動きすら感知することができます。4分間何の動きも感知できなかった場合には、その個体は死亡したと見なされ、その時点の位置情報とともに衛星通信を利用して即座にモータリティメッセージが送信されます。またVERTEX Plus首輪のVHFビーコンも、その時点で自動的にモータリティモードに切り替えられます。
温度センサー:個体の体温は、あらかじめ設定した時間ごとに組み込まれた温度センサーで0.1度の精度で計測され、データはUHF無線通信を使って送信されたVERTEX Plus首輪内のメモリに保存されます。
出産検知用インプラントは、妊娠しているメスの有蹄類(シカなど)に装着させたGPS首輪と組み合わせることで、個体の妊娠・出産を観察することができるセンサーです。妊娠期間中は母体の生理的なデータ(温度や動き)、ステータス情報(出産したか、まだしていないか)を計測して保存し、個別のIDとともに首輪に送信します。出産時には出産データを受信した首輪から場所と時間の通知が行われ、また首輪を装着した母体がその場を離れると(離別イベント)その旨も通知します。インプラントのサイズは、中型用(ニホンジカなど)と大型用(ムースなど)の2種類から選択することができます。
出産の検知:インプラントが子供の身体に押し出される形で母体から排出されると、通常は計測している周囲の温度が下がり、また動きの感知もされなくなります。この2点の変化が検知されると、インプラントは「出産が行われた」と判断し、VERTEX Plus首輪へ出産検知メッセージを送信します。メッセージを受信した首輪はすぐにGPS測位を行って位置情報を取得し、そのデータとともに出産イベントを保存します。衛星通信オプションを搭載している首輪の場合、この時点で出産イベントの通知も衛星通信を利用して行われます。
離脱イベント:インプラントは個別のIDコードをUHF無線通信を利用して母体が装着しているVERTEX Plus首輪へ常に送信し続けています。しかし、母体が出産後にその場を離れると、排出されたインプラントからの信号は首輪に届かなくなります。1時間以上信号が届かなくなった時点で、首輪は離別メッセージを送信します。
出産場所の特定:体外に排出された出産検知用インプラントは、位置を知らせるためにVHFビーコンを発信し始めます。GPS首輪と同様に、このインプラントのVHFビーコン発信についても自由に設定を変更することが可能です。